バイタルパルプセラピー(断髄法)の症例③
バイタルパルプセラピー(断髄法)によって神経を保存した症例③
▼術前症状がない;打診- 自発痛± EPT+ 根っこの尖端周囲の骨が溶けています(赤丸)
こちらの患者さまは、1か月前に他院にて虫歯治療を行い、白い詰め物を入れた部分に痛みがあるとのことで治療を希望されました。見た目は白い詰め物をいれて問題なさそうでも、実際は隙間ができており、レントゲンでは神経に細菌が感染していることが確認できます。通常であれば神経をとり、大きく削った後に高いセラミックをかぶせることになります。
虫歯や歯周病の発生をなくす1番のポイントは、詰め物やかぶせ物と自分の歯との間に段差や隙間をつくらない事です。そして、もう一つのポイントは無菌環境下で治療を行うということです。
虫歯治療は細菌除去治療です。誰が考えても細菌がいっぱいの唾液や血液のなかで無菌治療ができる訳がありません。つまり細菌が除去しきれていない上に段差や隙間も多い。…保険治療の歯の生存率が低い理由です。
自費の中には、こちらの写真のようにセラミックで見た目だけよくても、精度(歯の持ち)は保険と変わらないものも散見されます。こうなってしまっては隙間からすぐに虫歯になってしまいます。
医療人として良識あるドクターは見た目と精度の両方を追求します。そのためには、非常に計画的で精密な技術を必要とします。
そこで今回は、ラバーダム(ブルーのゴムシート)で唾液や出血から治療歯を隔離した無菌環境下にて、虫歯を選択的に除去し削る量を最小限にすることで高額なセラミックのかぶせ物を回避し、可能であれば感染した神経のみを取り除き、神経の大半を温存する計画をたてました。
細菌が神経に感染した場合、現在でも殆どの医院では全て神経をとります。(保険治療だとその後10年で約80%以上が根尖病変により、抜歯又は抜歯に近い状態になります。)
そのため、当院では感染している神経のみをとり、大半の神経を残すバイタルパルプセラピー(断髄法)によって、抜歯に至る歯を救える事が非常に多くなってきました。
バイタルパルプセラピー(断髄法)の実施
- 全ての治療はマイクロスコープを用いて、拡大視野下にて行います。
- 全ての治療をラバーダムというゴム製のシート(青)で覆った無菌環境下で治療を行います。
- バーや特殊器具を用いて虫歯だけを選択的除去していきます。(肉眼治療では不可能です)
治療期間 | 1日 |
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治療回数 | 1回 |
治療費 | 神経治療198,000円(税込) 詰め物110,000円(税込) |
リスク | 細菌対策などをしっかり行わないと再発する可能性があります。 神経の状態によっては保存が難しい場合もあります。 |