歯の移植(親知らずの移植)

院長が発明した歯牙移植用ドリルを使用して親知らずを生かす治療

親知らずを移植し機能面も審美面も回復

親知らずは疾患にかかりやすく、トラブルも起こしやすい歯ですが、健康な状態であれば将来的に活用できる事もあります。
親知らずは必ず抜歯をする物だと思われている方も少なくありませんが、他の歯同様に、症状や状態によって診断は変わります。
院長が発明した歯牙移植用ドリルでは通常では諦めてしまう症例でも移植を可能とします。
当院ではしっかりケアを行い温存し、将来必要になったときに移植の歯として利用することが可能です。

Before
After

歯のクリニック東京だから
実現できる4つのこと

  • シミュレーションを行うことで
    精度の高い移植を目指す
  • 移植が円滑になるよう
    CTなどのデータからガイドを作製
  • リスク軽減を目指して
    事前に移植歯の模型を作製
  • 丁寧な抜歯により
    できる限り歯根膜を残せる

ご予約はこちらから

当クリニックは、自費専門・完全予約制のクリニックです。

[月火水木] 10:00〜13:00/14:30〜19:30 [土] 8:30〜12:30/13:30〜17:30
[休診日] 金・日・祝

親知らずの移植

歯を失った際の、第4の選択肢として注目されています

現在、歯を失った時の咬み合わせの修復には、インプラントや入れ歯、ブリッジの3つの方法が主流ですが、人工物をお口の中に入れるので、少なからずリスクや不具合が生じる事もございます。それに比べ、親知らずは元々自身のお口に存在している天然の歯ですので、親和性も高く安心です。さらに、歯のクッション材とも言われる歯槽膜も一緒に移植出来ますので、長期維持も期待できます。現在、親知らずが健康な方は、来るべき時に備えて健康な状態を維持しておく事をおすすめします。

一般的な歯牙移植の条件

一般的な自牙歯牙移植は、全ての方に適用できる治療法ではありません。以下の条件が揃った場合は治療可能となります。

  1. 移植先と移植する歯のサイズに大きな差がないこと
  2. 移植する歯の根が複雑な形状でないこと
  3. 移植先に移植歯を囲む十分な歯肉が存在すること
  4. 移植する歯に歯根膜が存在していること(歯根膜は歯と骨を結びつけ、生着させる重要な組織のため) など

※ 条件が揃っていても骨量や歯茎の状態によって、成功率が低いと判断した際には出来ない場合もございます。

ここがポイント!

しかし、当院では特殊な技術を用いることで、上記①~③の条件は該当せずとも歯牙移植をお受けいただける場合があります。通常では困難な歯の移植、歯牙移植もデジタルや3Dプリンター、当院院長考案の移植用器具など安全を担保する機器を使用することにより可能となる場合があります。歯牙移植を諦める前にまずはご相談ください。

自身の歯を移植して咬み合わせを回復した症例

他医院で抜歯と診断された歯を歯根端切除と再植術の併用によって保存した症例をご紹介します。

Before
After

保存不可能な歯を抜歯後、自身の歯を移植して咬み合わせを回復しました。当院では、移植が適用できる条件が揃っていれば、インプラント・ブリッジ・入れ歯治療に加え、第4の選択肢として「自牙歯牙移植」をご提案致します。

主訴 左下奥歯が痛い
診断名 歯根破折、慢性根尖性歯周炎
年齢・性別 60代 女性
治療期間・回数 3ヶ月/10回
治療方法 自牙歯牙移植
費用 715,000円(税込)
リスク・注意点
  • 移植した歯が生着しない場合がある
  • 通常の歯と同様に歯周病、虫歯、歯根吸収の可能性がある

初診時の口腔内

初診時の口腔内です。診断・各種検査の結果、右下の奥歯に問題を発見しました。
右下奥歯は歯肉の退縮が著しく、歯根が露出し、さらに頬側の歯槽骨(歯を支える骨)も溶けている状態でした。保存不可能なため抜歯と診断し、抜歯後の咬み合わせの修復方法として以下の4つをご提案致しました。

  • インプラント
  • 入れ歯
  • ブリッジ
  • 自家歯牙移植(自分の不要な歯を移植)

各治療法のメリット・デメリットを過去の症例と共に説明したところ、「自牙歯牙移植」での治療を希望されましたので、保存不可能と診断した右下奥歯(前から6番目)の歯を抜歯した後、右下の不必要な親知らず(前から8番目)を移植する旨を患者様にご説明致しました。

術前の精密検査とシミュレーション

リスクを抑え、的確な移植手術が行えるよう検査とシミュレーションを実施。

  • 移植する歯のサイズ・根の検査

    歯根の形態が逆三角形であることに加え、歯根の長さが5.1~7.5㎜と短すぎないため、良い状態と言えます。

  • 移植先の骨・周辺組織の検査

    受け側の骨の形態はよくありませんが、受容側の骨の吸収による問題は、斜めに移植し、その後矯正することでクリアできます。※近くに大きな動脈(下顎管)があるため、慎重に処置を行います。

  • 3Dシミュレーション

    3D画像を用いて入念なシミュレーションを行い、起こりうるトラブルの把握と共に、適切な治療計画を立てて行きます。

各種検査・シミュレーションの結果から、成功率を下げる要因・将来的なリスク(歯根吸収・歯周病・虫歯など)を患者様にお伝えし、移植手術の同意をいただきました。

手術の成功率を高めるための対策

  • ガイドを使用して骨の形状を整える

    CT画像とスキャンデータによるサージカルガイドのシミュレーション結果を基に、移植する歯がスムーズに収まるよう、移植先の骨を正確に削るためのガイドを作製します。オペ当日には、移植前にガイドを使用して、不要な骨を削り、形状を整えます。

  • 移植歯の模型を使用した試適

    試適の際、実際に移植する歯を使用すると、骨と歯の生着に必要不可欠な歯根膜を損傷したり、乾燥による歯根膜の死滅リスクが高くなります。そのため、当院では、できる限り歯根膜を良好な状態に保ち、生着率を上げるため、移植する歯を再現した模型を使用し、適合の確認や調整を行っています。

初期の結合組織性吻合の確率を上げるための工夫

初期の結合組織性吻合の確率の向上を図り、臨床的有意差はでていませんが、組織学的に再結合が普通の歯と同じ配列で治癒する可能性を高くするため、歯の大半は抜き、一部歯の破片を移植日まで保存しました。

移植手術の実施

  • ドナー歯の抜歯

    歯根膜を損傷しないよう、丁寧に抜歯した右下8番目のドナー歯です。しっかり歯根膜を残し、抜歯を行う事に成功しました。この抜歯の仕方で成否が分かれます。

  • 移植完了

    抜歯したドナー歯を、右下6番目へ移植。骨内に入れる為、予定通り斜めに設置し、動かないように周りの歯としっかり固定します。※骨の吸収が著しかった頬側には、骨の再生を促すため、自家骨と骨補填材を設置しました。

手術より2週間後に根管治療を実施

移植手術の2週間後に、炎症性吸収という根の吸収による失敗が起こらないように無菌下で、精度の高い根管治療を行います。拡大視野での的確な処置を可能にするマイクロスコープをはじめ、根管内への細菌の侵入を防止するラバーダム、緊密な充填が可能なMTAセメントなど用いた「精密根管治療」を行い、再発率の軽減に努めています。詳しくは精密根管治療ページをご覧下さい。

移植に伴う炎症性吸収について

歯根膜が一部欠けた歯を移植した場合、歯髄に細菌感染があると、歯髄(歯根中心)と象牙質(歯根表面)を繋ぐ細い管(象牙細管)を通して、細菌が歯根表面へと流れ出ます。
流れ出た細菌が原因で歯根が吸収されることがあります。これを「炎症性吸収」といいます。炎症性吸収は移植後に起こりうる症状の一つですが、歯髄に感染が起こらないように、根管の処置を適切に行うこと(精密根管治療)で抑えることができます。

矯正治療による歯並びの調整

根管治療後、骨内に入れる為に斜めに設置し安定した移植歯を、理想的な位置に移動するために矯正治療を行います。矯正治療の詳細は、以下のページよりご確認下さい。

治療完了

矯正治療による歯並びの調整が終わった後は、移植した歯の形態を整え、治療完了となります。通常通り歯を削ってかぶせ物をいれる場合、象牙質露出により炎症性吸収を引き起こす可能性がある為、歯は削らず、歯科用の樹脂で歯の形態を整えました。

このように当院で行う移植は、診査・診断をしっかり行い、適切な治療計画の基、あらゆる工程で成功率をあげる工夫をしております。抜歯と診断され、移植をご検討中の方、インプラントや入れ歯治療以外の方法で歯の機能を回復したい方はぜひ、歯のクリニック東京までご相談下さい。

この症例の担当者のご紹介

院長

吉橋 典章Noriaki Yoshihashi

根管治療審美治療など様々な分野に精通。精密治療による歯の保存を得意としています。

ドクター紹介

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抜歯を推奨する親知らずの症状

当院では、親知らずの保存に努めていますが、口腔内に悪影響を及ぼす親知らずに関しては、抜歯をおすすめする事もございます。抜歯の可能性が高い親知らずの状態や症状を一部ご紹介致します。

  • 前の歯に接触して歯列を乱す

    まっすぐ生えて来ない親知らずは、前方の歯に接触しながら成長します。成長する力でゆっくりと負荷が掛かる事によって、少しずつですが歯並びがズレて咬み合わせが合わなくなります。こういった場合には、将来的な不正歯列などのリスクも考慮して抜歯と診断する事もございます。

  • 体調不良の原因となる場合

    上顎の親知らずの細菌感染によって、歯根の先にある副鼻腔(顔に存在する空洞)に悪影響を及ぼし、頭痛などを引き起こす場合があります。さらに、下顎においても細菌による炎症が歯茎や骨まで広がり、喉・顎に痛みが出るなど、体調不良の原因になる場合にも抜歯をおすすめ致します。

  • 虫歯・歯周病になっている

    親知らずはまっすぐ生えている場合にも、お口の一番奥に位置しているため十分なケアが行えず、虫歯や歯周病になりやすい歯です。治療をしても再発しやすく、周囲の歯に悪影響を及ぼします。虫歯・歯周病リスクが高い場合や、すでに罹患している場合には、ほとんどのケースで抜歯をおすすめしています。

  • 智歯周囲炎を繰り返す場合

    途中まで歯肉に埋まっている状態の親知らずは、食べかすなどが溜まりやすく細菌の繁殖によって炎症を起こす事があります。これを智歯周囲炎と言い、症状が悪化する事で顔の腫れや開口障害、発熱などを引き起こします。内服薬で炎症を緩和した後に、覆っている歯肉を切除などして改善を行いますが、炎症を繰り返される場合には抜歯を推奨しています。

痛みを抑えた抜歯を心がけています

親知らずの抜歯と聞いて、まず一番に気になる事は「痛み」だと思いますが、抜歯時には、しっかりと局所麻酔を効かせていますので、痛みを感じる事はほとんどありません。また、麻酔注射も様々な対策によって、痛みを緩和した処置を実施しています。痛みが現れるのは、麻酔が切れてからとなりますが、痛みの度合いに関しては抜歯に要した時間と比例すると言われているため、出来るだけ痛みが出ないよう、侵襲を抑えた治療に努め、スムーズな抜歯を心がけています。
麻酔注射の痛みを抑える対策については、以下のリンクよりご確認ください。

抜歯時の負担やリスク軽減への対策

当院では麻酔注射の他にも、負担やリスクを最小限に抑えるための対策を実施しています。

  • 歯科用CTでの精密検査

    大掛かりな抜歯となる場合には、歯科用CTで事前に骨、神経、血管など親知らず周辺の組織の状態を検査します。さらに、検査データを基にシミュレーションを行い、正確かつスムーズな抜歯に努めています。

  • ピエゾサージェリー

    歯肉に埋まっている親知らずに対しては、軟組織(歯肉など)に負担をかけずに切開が出来るピエゾサージェリーを使用して、低侵襲な処置を行います。骨を切削する際に、ダメージを抑えた正確な処置によって、治癒期間の短縮に努めています。

  • 静脈内鎮静法

    親知らずの難抜歯は、恐怖心や不安を強く感じ体調が悪くなったり、麻酔が効きづらくなる事があります。そのような場合には、うたた寝状態で治療を受けていただける「静脈内鎮静法」もご用意しています。麻酔専門医管理の下、行いますのでどうぞご安心下さい。

抜歯後のドライソケットに
注意しましょう

親知らずを抜歯すると、歯があったくぼみの部分に血が溜まり、血餅(血中の成分が凝固したゼリー状の物質)によって、傷口を痛みや細菌の感染から保護します。しかし、体質上、血餅が生成されなかったり、うがいなどが原因で剥がれてしまうと傷口がむき出しになり、強い痛みが表れます。これをドライソケットと言い、1週間以上痛みが続く事がありますので注意が必要です。抜歯後は、患部を吸ったり、うがいなどを極力控え、ドライソケット防止に努めましょう。心配な方は、歯科医院にて事前にコラーゲンを充填しますので、ご相談ください。

東京八重洲・京橋で親知らずの抜歯・歯の移植をご検討中の方へ

歯のクリニック東京では、将来の移植も考慮して健康な親知らずは出来るだけ維持して頂けるよう、定期検診の際にしっかりケアをしております。また、抜歯となった場合にも、負担を抑えたスムーズな抜歯にこだわって処置をしています。東京八重洲、京橋で痛みの少ない親知らずの抜歯や、親知らずの移植をお探しの方は当院へお越し下さい。