歯の神経を抜くか抜かないか!どちらが適切?その判断基準とは
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歯医者で『神経を抜かないといけない』と言われた経験はありませんか?
当院では、可能な限り歯の神経を残す治療を行っています。歯の神経を残すことは、これから先の歯の健康を考える上で非常に重要です。
神経をどの程度残すことができるかは、細菌感染による神経の壊死の程度で判断ができます。
虫歯や外傷によって、歯の神経に問題が起きた際の治療法としては「根管治療」が一般的です。
根管治療の中には、細菌に感染した神経を除去する「感染根管治療」や、歯の神経を抜く「抜髄(ばつずい)」などの治療法があります。
また、歯の神経をできるだけ保存するための『断髄』や『VPT(バイタルパルプセラピー)』といった治療法などもあります。
今回は、歯の健康を守るためにはどうするべきなのか、神経を抜くメリットやデメリットについて、詳しく解説します。
歯のクリニック東京だからできること
当院では、歯の美しさにもこだわっておりますが、総合的な機能面にもこだわりを持って治療を行っております。歯は、人の印象にも影響するような大事な部分です。総合的な治療を行うためには、根管治療、歯内療法、歯周治療、補綴治療、審美治療・インプラント・再生療法等全てに精通していないと成し遂げられません。また、当院はマイクロスコープという顕微鏡を導入し、肉眼のおよそ30倍の視野で治療を行います。これにより、見落としがちな細菌物質や汚染状況の確認をはじめ、根管内部のひびや破折などの発見にも効果を発揮し、徹底した処置を実現します。当院では総合的な治療を行うためにはあらゆる分野の深い知識が必要だと考えており、日々インプットとアウトプットを繰り返し精進しております。
歯の神経を抜くってどういうこと?
「歯の神経」と一般的に呼ばれている器官は、正式には「歯髄(しずい)」と言います。
歯髄は歯の中心部にあり、歯の感覚を司り、栄養を行き届けている神経です。歯髄は虫歯や外傷によって細菌に感染することがあります。感染により炎症を起こすと、自発的な痛みや腫れ、排膿などの症状が現れることがあります。
細菌感染により壊死した歯髄を取り除くことを、「神経を抜く」と表現されることが多いです。
ただ、「細菌感染により壊死した歯髄」の中には、いくつかの段階が存在します。
1.神経をすべて抜く場合
歯髄全体が細菌に感染している場合は、歯髄をすべて取り除く「抜髄」を行います。
その後、根管を清潔な状態に保つために感染根管治療を行う必要があります。
ただ、歯髄を抜くと歯への血液や栄養の供給が止まり、歯が脆くなります。そのため、後に歯が割れ、抜歯のリスクが高まります。
また、再感染が起き、歯を抜かなければいけなくなるリスクも高まります。
2.神経を一部のみ抜く場合
歯髄の一部が感染しているが、まだ生きている部分もある場合は、壊死した神経のみを取り除く「断髄」を行います。生きている神経があることは、歯の寿命を延ばすことにつながります。
そのため、できる限り歯髄の保存が推奨されています。
しかし現在、どこまでが感染部分かを判定する方法はありません。そこで、どこまでが感染部分かを判定し、成功率を上げるためには豊富な知識と経験が必要になります。感染部分のみを除去することは非常に難しい治療となります。
当院では、可能な限り神経を保存する治療をしています。そのために、豊富な経験と実績を持つ歯科医師が、マイクロスコープ・ラバーダム防湿・CBCTを使用して精密な治療を行っております。
歯の神経を抜く必要がある症状
細菌感染や炎症が重度の場合、頭蓋骨が溶け、その範囲が拡大してくるため、歯を保存したい場合は壊死した神経を抜く処置が選択されます。以下の症状すべてが抜髄の対象となるわけではありませんが、歯髄の炎症が重度のケースで度々見られる症状であるため、1つでも当てはまる場合には注意が必要です。
自発的な痛み
歯髄に炎症があると起こる特徴的な症状として、何もしていないのに痛みが自発的に生じる「自発痛」があります。歯髄の炎症による自発痛は痛みが強く、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
自発痛を放置していると、次第に痛みは消失しますが、これは炎症が落ち着いた訳ではなく、神経が壊死したことを意味します。
膿が出ている
虫歯によって歯髄の炎症が進むと、歯の根っこにまで細菌の感染が広がり、頭蓋骨を溶かし膿が溜まことがあります。この状態になると、歯ぐきから膿が出たり、おできができる事があります。これは、神経の壊死が進んでいるサインです。膿が排出される場合には、感染した神経を抜く治療が選択されます。
温かいもので強い痛みを感じる
冷たいものがしみるのは、小さな虫歯や知覚過敏で見られる症状ですが、神経の炎症が進むと、冷たいものだけでなく温かいものでも痛みを感じるようになります。
特に、温かい飲み物や食べ物で痛みが持続する場合は、神経が深く損傷している可能性があります。これは、抜髄が選択される重度の歯髄炎の特徴です。
歯の変色
外傷などで神経が損傷し、そのまま壊死すると次第に歯が灰色、または黒く変色することがあります。このように、知らず知らずのうちに神経が壊死し、歯に変色が起きた際にも歯の神経を抜く処置が選択されます。
歯の神経を抜くことのメリットとデメリット
歯医者で「歯の神経を抜かなければいけない」と診断されても、「すごく痛い治療だったらどうしよう」と、不安に思われる方も多いでしょう。
しかし歯髄炎を放置すると、炎症が周囲の骨や組織に広がり、歯を支えている骨が破壊され、頭蓋骨の吸収が進んでいく事があります。
また、膿が溜まることで強い痛みや顔の腫れ、発熱などの症状が現れることもあります。
このように歯髄炎が感染源となり、口腔内の健康をさらに損なう可能性があります。
適切な治療を受けるために、歯の神経を抜くことのメリットとデメリットを把握しましょう。
歯の神経を抜くメリット
○痛みの軽減
虫歯や損傷によって歯の神経が炎症を起こすと、今まで経験したことないほどの強い痛みが生じることがあります。この痛みは、痛み止めを使用しても一時的にしか和らがず、本質的な解決にはなりません。
神経を抜く治療は、この痛みを根本的に軽減できるというメリットがあります。
○歯を残せる可能性が高まる
神経の炎症を放置すると、神経が壊死し顎の骨を溶かすことがあります。その結果、歯を失う原因にもなります。しかし、壊死した神経を抜く治療を早期に行えば、抜歯を回避し、歯を残すことができる可能性が高くなります。
歯の神経を抜くデメリット
○感覚の喪失
神経を抜くと、歯に直接加わる刺激の感覚がなくなります。冷たい飲食物や熱い飲食物への感受性が低下し、違和感が生じる点は、神経を抜くデメリットの1つでしょう。
○歯が脆くなる
歯の神経は、歯に血液や栄養を供給しています。そのため神経を抜くと、歯の強度が低くなってしまいます。神経を抜いて根管治療を行なったあとは、被せ物をして歯を保護しますが、天然の歯と比べると脆く、破折などのリスクが高い傾向にあります。
○再感染のリスクがある
根管治療において細菌の除去が不十分だったり、根管内の薬が足りなかったり、再び虫歯に罹患したりすると、根管内で再感染が起こります。根管治療を行った歯は、10年で半数以上の歯が再感染しているという報告があります。
根管治療の精度 被せ物の精度 根管治療成功率 Case.1 自費の保険治療
自費(精密な)被せ物
91.4% Case.2 保険の根管治療
自費(精密な)被せ物
67.6% Case.3 自費の保険治療
保険の被せ物
44.1% Case.4 保険の根管治療
保険の被せ物
18.1% (引用元:HA Ray, 1995, Inter Endod J)
また、再根管治療(2回目以降)は初回の根管治療(1回目)と比べて格段に成功率が下がります。
そのため、初めて神経を触る、初回の根管治療が重要になります。
○一時的な痛みや腫れ
壊死した神経を抜く処置をしたあと、一時的に痛みや腫れが生じることがあります。しかし、通常は次第に痛みが和らぎ、2週間ほどで消失するため、これはあくまで一時的なデメリットです。
なるべく歯の神経を抜かない治療法(断髄、VPT)
断髄、VPT(バイタルパルプセラピー)とは、細菌感染している歯髄のみを除去し、大半の神経を保存して機能を維持させる治療です。
断髄、VPTのポイントは、「感染している細菌だけを限定的に除去する」事です。これはマイクロスコープやCBCT・ラバーダム防湿がなくてはできない治療です。歯髄を健康な状態で保存するために、MTAセメントやバイオデンチンなどで歯髄を被覆します。
断髄、VPTは全ての症例で適応されるわけではありません。特に、虫歯によって全ての神経に細菌感染したケースや、歯自体が割れている場合には適応されません。
断髄、VPTを適応できるか?神経を残したい方は、ぜひご相談ください。
当院が行う歯髄保存治療
当院では、治療に使用する設備や材料にこだわって治療を行っております。ただ、良い設備・材料を使っているだけでは必ずしもいい結果を生むわけではありません。
当院では、精度の高い治療を皆さまにご提供するためにも、日々インプットとアウトプットを繰り返し研鑽を積んでおります。
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治療前
治療前に撮影したレントゲン写真です。赤い矢印のところに虫歯が確認できます。
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治療直後
感染していた神経のみをとり、大半の神経が残っています。(矢印下の白い部分が神経を取り除いた部分)
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3年後
電気テスト、コールドテストで神経が生きている事が確認できました。また、神経が死んでいると出現する歯の根の尖端の黒いレントゲン像も見受けられません。
通常であれば、神経をすべて取り除く症例でしたがVPT(断髄法)によって、神経を一部保存することができました。
※ すべての症例で神経を保存できるわけではありませんが、少しでも保存できる可能性がある場合にはバイタルパルプセラピー(断髄法)をご提案いたします。
患者様データ
主訴 | 左上に異和感がある。 |
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診断名 | 急性歯髄炎 |
年齢・性別 | 20代女性 |
治療期間・回数 | 1日/1回 |
治療方法 | 神経治療、被せ物 |
費用 | 神経治療:165,000円(税込) かぶせ物:100,000円(税込) |
リスク・注意点 | 細菌対策などをしっかり行わないと再発する可能性があります。 神経の状態によっては保存が難しい場合もあります。 |
まとめ
歯の神経を抜くことは、歯がもろくなるなどのデメリットがあります。しかし、神経を抜く治療では痛みや感染を取り除き、歯自体が残せる可能性が高まるため、抜くこと自体が悪い治療だとは一概には言えません。当院では、少しでも神経を残すために、歯の神経を残す治療を行っております。
歯の神経を残すことは、歯の健康寿命を延ばすために非常に重要です。
また、神経を抜かずに保存できる断髄、VPTが適応できると診断された場合は、適切な治療を受けて神経を保存し、歯の機能を保つことをおすすめします。
当院では、歯の神経をできるだけ保存する治療を得意としています。お悩みがあればご相談ください。
さらに当院の院長(理事長)は、神経を保存するだけでなく、歯髄幹細胞を用いて、失った神経を再生させる治療(自髄再生療法)についても得意としております。
他の治療と同様に神経再生治療の動画も発信しているため下記よりご視聴ください。
歯の神経(歯髄)は再生できるの?
まずは動画をご覧ください
治療の選択肢に正解はありません。唯一あるとすれば、それは自分の価値観に合った治療選択ができることだと思います。その為には患者様ご自身が【治療の本質】をより理解する必要がございます。
治療の本質については以下の動画で説明していますので、ぜひご視聴ください。
ご予約の際はYouTubeを必ずご覧ください
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