親知らずや異所萌出歯などを欠損箇所に移植する自家歯牙移植とは?気になる治療のポイントを詳しく解説!
虫歯や歯周病で歯を失うことを想定した時、皮膚や臓器を移植するように、不要な歯を移植して保存することができたら…と考えたことはありませんか?
実は歯科においても、自身の親知らずや異所萌出歯などを欠損箇所に移植する治療方法があります。本記事では、この親知らずの移植について、その仕組みや詳しい治療方法などを、細かく解説いたします。
親知らずの移植(自家歯牙移植・じかしがいしょく)とは
移植は、自身またはドナーの組織や臓器を移し、欠損した組織や臓器を健康なものに置き換え、機能を回復させる医療です。移植は臓器移植、骨髄移植など様々な形態で行われ、医療技術の進化により、多くの患者様の生命、生活の質を向上させる手段の1つとなっています。
歯科治療でも、この移植技術を応用した歯牙移植が可能です。親知らずや異所萌出歯などを分割して歯牙移植が可能なため、奥歯以外に前歯への歯牙移植も当院なら可能です。
また、親知らず以外にも、歯ぐきの中に埋まっている埋伏歯(まいふくし)がある場合、これを取り出して移植に使用することもあります。
なぜ歯の移植治療(歯牙移植)が可能なのか
では、なぜ歯の移植が可能なのでしょうか?その理由は、歯の周囲に存在する「歯根膜(しこんまく)」にあります。
歯根膜は、歯とその周囲の骨をつなぐ、薄い繊維性の組織です。歯の根っこの部分と歯槽骨の間に存在し、歯を支持・安定させる役割を果たしています。また、感覚や刺激の伝達、噛んだときに衝撃を吸収するクッションのような役割も担っているため、歯にとって非常に重要な組織です。
そんな歯根膜の中には、再生能力に優れた「幹細胞」が存在します。高い再生能力を持った細胞を有する歯根膜が、移植先で歯周組織の再生を促し、歯と骨をつなげることで天然歯の機能を取り戻せるのです。
逆に言えば、歯根膜の付着が不十分な歯を移植した場合、その成功率はかなり低い結果となるでしょう。
親知らずの移植のメリットとデメリットは?
メリット
○周囲の歯を傷つけない
歯牙移植後の歯は安定した後、天然の歯と同じように使えます。入れ歯のように周囲の歯に金具をひっかけたり、ブリッジのように健康な歯を削ったりする必要がないため、他の歯を傷つけず、負担をかけない点が、自家歯牙移植の大きなメリットです。
○金属を使用しない
歯牙移植の治療では、金属を骨や歯ぐきに埋め込むことはありません。そのため、金属アレルギーがある方や、口腔内になるべく異物を入れたくない方でも、安心して治療を受けられます。
〇治療期間が短い
治療に半年近くかかるインプラントと比べ歯牙移植は2か月程度となります。
デメリット
○移植する歯と十分な骨量が必要
自家歯牙移植は、条件に適した不要歯がないと治療を受けられません。また、歯周病に罹患し、骨が痩せてしまっている方も、移植に必要である十分な幅が確保できないため、治療は不可能です。
○必ず成功するわけではない
自家歯牙移植の治療では、正確な診断ができ、確かな技術を持った歯科医師でなければ、成功率が下がってしまいます。このように、信頼のおける担当医を見つけなければならない点も、歯牙移植のデメリットと言えるでしょう。
当院では歯牙移植を研究し、特許を取得している歯牙移植用ドリルやデジタルを使用し、成功率を各段にあげる手法を確立しております。
親知らずの移植治療の流れについて
STEP1.検査
まずは歯科医師のチェックをはじめ、歯科用CT撮影や、歯周病の検査を実施し、移植が適用になるかどうかを診断します。
STEP2.歯牙移植
歯根膜を傷つけないよう親知らずや異所萌出歯などを抜歯して、歯ぐきや骨の形を整えた移植先に挿入します。その後、不安定な親知らずを固定し、切開した歯ぐきを縫合して処置は完了です。
STEP3.神経の治療(根管治療・根管充填)
移植から2週間前後で、神経の治療へ移行します。歯の神経は抜歯時に機能を停止しており、移植先で再生することもありませんので、傷口の炎症が落ち着いた段階で神経が入っていた空洞をきれいにする治療を行います。根の内部を数回に分けて消毒・洗浄し、最終的に細菌が侵入しないよう、専用の材料で充填したら神経の処置は完了です。その後は仮歯を作り、経過観察しながら移植した歯で噛む練習をしていきます。
STEP4.被せ物の治療
移植した歯が安定したら、仮歯を外して最終的な被せ物を作製します。被せ物をセットしたら、歯牙移植の治療自体は完了しますが、長く安定して使用するために、その後も歯科医院で定期的な経過観察が必要です。
まとめ
親知らずや異所萌出歯などを使った自家歯牙移植は、自身の不要な歯を利用して歯の喪失を防ぎ、健康な状態を維持できる理想的な治療法です。しかし、自家歯牙移植には、確かな技術を持った歯科医師による適切な治療計画と処置、さらに移植後の経過管理が欠かせません。歯の喪失が避けらない状態になったら、信頼のおける歯科医師のアドバイスを聞き、自家歯牙移植を含む治療法の中から、自身に合った治療を選ぶようにしましょう。
当院の院長(理事長)は、歯牙移植について動画で発信をしております。
治療の選択肢に正解はありません。唯一あるとすればそれは自分の価値観に合った治療選択ができることだと思います。その為には患者様自身が商業的でない【治療の本質】をより理解する必要があり、ぜひ以下の動画をご視聴の上、ぜひご来院ください。
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