歯牙移植とは?治療の流れやメリット・デメリットを解説!
歯周病や虫歯、外傷などで失った歯は、何らかの装置で補う必要があります。専門的には補綴(ほてつ)と呼ばれる治療で、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つの選択肢が用意されています。いずれも欠損部に人工歯を配置する点は共通しており、天然歯をそのまま再現することは不可能です。そこで是非とも知っておいていただきたいのが「歯牙移植(しがいしょく)」というもう1つの選択肢です。ここでは歯牙移植の特徴や治療の流れ、治療に伴うメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
歯牙移植とは
歯牙移植とは、歯を失った部分に患者様自身の歯を移植する治療法です。厳密にはこれを自家歯牙移植と呼び、欠損部を患者様自身の天然歯で補える唯一の方法といえます。天然歯は一度失うと再生されないことで有名な組織ですが、別の部位から採取して移植すれば、ある意味で元の状態に戻せるのです。もちろん、歯を失う前の状態へと完全に戻せるわけではありませんが、天然歯で欠損部を補えることは患者様にとって極めて大きなメリットとなります。ちなみに、歯牙移植のドナー歯となるのは基本的に親知らずです。前から8番目に生えてくる永久歯で、かみ合わせに参加していなかったり、歯ぐきの中に半分埋まっていたりすることが多い歯といえます。
歯のクリニック東京だからできること
当院では、歯の美しさにもこだわっておりますが、総合的な機能面にもこだわりを持って治療を行っております。歯は、人の印象にも影響するような大事な部分です。見た目はもちろんのこと、総合的な治療を行うためには、根管治療、外科的歯内療法、歯周治療、補綴治療、審美治療全てに精通していないと成し遂げられません。そのため、当院ではあらゆる分野の深い知識が必要だと考えており、日々インプットとアウトプットを繰り返し精進しております。
歯牙移植の適応となる条件
歯牙移植の概要を聞くと、まるで魔法のような治療法に感じるかもしれませんが、適応症はそれほど広くはありませんのでご注意ください。具体的には、以下の4つの基本要件を満たす必要があります。
条件1.ドナー歯が存在している
歯牙移植を適応するためには、欠損部に移植するドナー歯の存在が不可欠です。一般的には第3大臼歯である親知らずが該当し、虫歯や歯周病にかかっていないことが前提となります。
条件2.歯根の形態が単純である
歯の根っこの部分である歯根がシンプルな形をしていると、抜歯がスムーズに進みます。逆に、歯根が複雑な形をしていると、歯根膜を傷つけるなどのトラブルが起こるため、ドナー歯としては適していません。
条件3.歯根膜が正常な状態にある
歯の根っこの周りを覆っている歯根膜の状態は、歯牙移植を成功させる上で極めて重要です。歯周病などで歯根膜がダメージを受けていたり、抜歯の際に傷ついたりした場合には、移植を行えなくなることもあります。
条件4.ドナー歯と移植先の歯の形が似ている
健全なドナー歯が存在していても、失った歯と形態が大きく異なる場合は、移植が難しくなります。それは歯のサイズだけでなく、形も似ている必要があります。
歯牙移植治療の流れ
歯牙移植は、次の流れで進行します。
STEP1.精密検査・カウンセリング
はじめに、口腔内診査、歯周組織検査、レントゲン撮影、CT撮影などを行って、歯牙移植を適応できるかどうかを診断します。適応できる場合は、カウンセリングにて手術内容や手順、治療にかかる費用などをご説明します。実際の手術は、初診とは別日に行うのが一般的です。
STEP2.移植歯の脱臼
歯牙移植の手術は、移植歯を脱臼することから始まります。局所麻酔を施した上で、親知らずを抜き取ります。
STEP3.移植する部位の準備
保存不可能な歯が残っている場合は抜歯をして、ドナー歯を移植する部位にソケットを形成します。
TEP4.歯牙移植
ドナー歯を移植する部位へと挿入します。
STEP5.移植歯の固定・歯ぐきの縫合
移植した歯を隣の歯に固定し、歯ぐきを縫合したら手術は終わりです。
STEP6.傷口の消毒
手術から1~3日以内に傷口を消毒します。
STEP7.抜糸
手術から1~2週間以内に縫合糸を抜き取ります。
STEP8.移植歯の神経の治療
移植歯の神経を抜き、根管治療を行います(2~3回の通院が必要)。
STEP9.移植歯の被せ物治療
移植歯に被せ物を装着したら治療は完了です。
移植のメリット・デメリット
歯牙移植は、以下に挙げるメリットとデメリットを伴います。
メリット
天然歯で噛める
天然歯には歯根と歯根膜があるため、噛み心地が良いです。酸素や栄養素、免疫細胞の供給も期待できることから、歯周病のリスクも低減できます。
不要な歯を有効活用できる
ドナー歯である親知らずは、生え方が悪く、トラブルを引き起こしやすいことで有名ですが、欠損部に移植することで清掃性が高まり、虫歯・歯周病を予防しやすくなります。
補綴治療を先に延ばせる
移植した歯の5年生存率は90%以上と言われていますが、一生涯使い続けられるとは限りません。再び歯を失った場合には、ブリッジやインプラントといった通常の補綴治療を行う必要があります。そうした人工歯による治療を数年間先延ばしにできるだけでも、患者様にとっては大きなメリットとなります。
デメリット
保険適用外となることがある
歯牙移植で保険が適用されるのは、抜歯した当日に親知らずを移植する場合のみです。もうすでに歯を失っていたり、親知らず以外の歯を移植したりする場合は、自費診療となるため注意が必要です。
適応範囲が狭い
ここまでの説明でもわかるように、歯牙移植の適応範囲は比較的狭いです。そのため歯を失った場合の治療法としては、ブリッジや入れ歯といった補綴装置が第1選択となりやすいことを知っておきましょう。
まとめ
今回は、歯牙移植の特徴や治療の流れ、治療に伴うメリット・デメリットなどを解説しました。何らかの理由で失った、あるいは抜歯予定の歯を自分の歯で補える歯牙移植は、患者様に大きなメリットをもたらしてくれますが、適応範囲が狭い、保険が適用されないことがあるなどのデメリットも伴いますので、それらを正しく理解した上で検討する必要があります。歯牙移植が適さないと判断した場合は、入れ歯やブリッジ、インプラントといった従来法で治療をしましょう。
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